ふみのや ときわ堂

季感と哀歓、歴史と名残りの雑記帳

あらゆる快楽、あらゆる褒美、いかなる賛辞にもかなえられない、最後の果実。

わたしは、ひとつの愚を犯しました。
いえ、現在進行形です。
犯しつづけております。
この世における万能感。そう、わたしはなんでもできる。
ベッドの上で、天井を見あげながら、この世が手に入る。
この耳をつんざき、とどろき、ふるえあがらせる、すさまじい歓喜。おそるべき御業。
あらゆる快楽、あらゆる褒美、いかなる賛辞にもかなえられない、最後の果実。恍惚の瞬間。
だめだだめだと思いつつ、寝なきゃ寝なきゃと思いつつ、夜を徹してキンドルにかじりつくあの時間の、なんと目のくらむこと。
旅行にいくより、ひとと語らうより、おかねもらうより、この世のありとあらゆる、こころくすぐる瞬間のすべてを抜き去る、問答無用の完結した時間。
 
 
何か月かに一度、訪問者がやってくる。
今日のためにいままで生きていたとしても、それでかまわないと思わせしめるものが。
この日のためにいままでの人生があったのだと、疑いようのない確信をいだかせるものが。
信じているのではない、知っているのだ。
そしてそれはいずれも、本であった。
本がわたしをおとなう。ひかえめにノックしながら。
 
そう、すべてが手に入るのだ。
欠けたることのない、まったき心地。
望月。道長。全能感。
徹夜してまで本を読む情熱さえあれば、わたしは生きていける。何があろうとも。
そしてその瞬間のために、これからも生きるのだ。
気の遠くなるほどの時間を。
なにもせぬままであれば、長すぎる、この浮き世を。


と、いいつつ、あすは、おのれの愚を呪うのです。
はよ寝ればよかったと。わかってる。
小学生のみぎりから何度も犯し、何度も悔い、大学生のころに、そろそろやめねばと思った愚行が、なんと甘美なことか。
むしろそれのない道ゆきが、なんと広漠たる砂の道であったか。
今後とも、愚行に邁進しようと思った次第です。
できれば日中に。
どこかひとけのないところにこもって。
よかった、おとなの分別がでてきた。
 
 
そろそろ夜が明けてまいりました。
富士山にのぼってご来光をみてから、休日をたのしんだということにしよう。
そうだ、わたしにとってはご来光はミジンコだ。
書による徹夜のほうが尊いのだ。

 

そろそろ、おやすみなさい。みなさまよい夢を。

 

 

さあ君も、夜を徹して書を読もう!それが道長への第一歩だ!!

学研まんが人物日本史 藤原道長 藤原氏の全盛